石川県能登地方で1月1日午後4時過ぎに発生いたしましたマグニチュード7.6、最大震度7の地震により、石川をはじめ、富山、新潟、福井など多くの地域が甚大な災禍に見舞われました。
震度6強の揺れに襲われました輪島市門前町の大本山總持寺祖院では、人的被害は免れましたが、建物や境内各所に多大な被害を及ぼしました。
法堂(大祖堂)、山門、仏殿、経蔵、僧堂(坐禅堂)などの主要建物の倒壊は免れはしましたが、前田利家公の正室・お松の方をお祀りしておりました芳春院が全壊し、山門と香積台とをつなぐ禅悦廊(山門に向かって右手の回廊)や水屋が全壊するなど、大きな被害がありました。
そのほかにも諸堂の屋根瓦が落ち、灯籠が倒れ、参道の石畳もめくれ上がるなど、平成十九年三月の能登半島地震よりも、大きな揺れであったことが報告されています。
被災当初は余震も続いておりましたため、祖院境内と建物内に立ち入ることもできず、道路、電気や水道などのインフラ設備も復旧の目途がたたず、被災いたしました祖院関係者も全員が避難所での生活を余儀なくされました。
このたびの地震では、長年にわたりまして總持寺祖院とともに歩んでこられた門前町でも多数の家屋倒壊があり、輪島市においても多くの犠牲になられた方々の報告もございます。
全国の曹洞宗ご寺院および檀信徒の皆さま、輪島市をはじめ全国の方々のご協力により、平成十九年の地震被害から十四年にもおよぶ耐震保存復興修理工事を経て復興いたしました祖院ですが、再びのこのような惨事に、山内一同、心を痛めております。
昨夏の祖蹟巡拝では、本山修行僧が能登の祖院や永光寺を拝登させていただきました。祖師方が長きにわたり育んでこられた素晴らしい土地に触れ、修行僧一同、法孫としての自覚を新たにさせていただいたばかりです。
現在、本山修行僧は被災地の方々へ思いを寄せながらも、仏祖への報恩として日日の行持にひたむきに勤しんでおります。 なお、祖院境内には国の登録有形文化財が多数ありますことから、むやみに瓦礫を撤去することもできず、現地行政の災害復旧を待ちました上で、詳細な被害状況の調査と、今後の方針につきましては、改めてご報告させていただきます。