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伝道標語
親切に此道に訣著せんと思はば、多聞を好むこと勿れ。直に勇猛精進すべし

生きていく中で人はたくさんの物事に出会い、特に興味をもったことについては、「もっと知りたい」、「自分も出来るようになりたい」と考える方もいらっしゃると思います。私自身も興味を持ったことはとりあえず挑戦してみたいなと思う事がよくあります。特に最近はインターネットを通して、多くの事を見聞きすることが簡単に出来るようになっており、とても便利な世の中になってまいりました。少し前までは本を読んだり、誰かに教えて貰ったりしなければ知ることができなかった内容が、動画で無料公開されていることも多くあるように感じます。

しかしながら、簡単に多量の事を知ることが出来るという状況は、見ただけ、聞いただけで満足してしまうことも多くなっているように思われます。もちろん、学ぶことも大切ですが、いくら上手な掃除の仕方を学んでも、掃除をしなければ綺麗にはなりません。美味しい料理の作り方を学んでも、料理を作らなければ食べることはできません。そして実践しなければ成功どころか、失敗すらも経験することができないのです。

私の友人にカメラの趣味を持つ方がいるのですが、コロナの自粛期間で以前のように撮影に行けないことに悩んでいたのですが、その分撮影に行けるときの事をしっかりと考え、撮影後も写真を最大限に生かせるように勉強し、今ではプロのような出来栄えの写真を仕上げるように成長されています。

仏道修行においても、只管打坐という、ただひたすらに坐禅を行うという教えがありますが、実際に坐禅をしなければ、なにもしていないのと一緒であり、坐禅をしたとしても、何かを考えてしまうなどして、ただひたすらに坐るということがいかに難しいことかを実感することになります。

瑩山禅師は『伝光録』にて「親切に此道に訣著せんと思はば、多聞を好むこと勿れ。直に勇猛精進すべし。」とされており、これは何か自分自身の目標があるならば、見聞きして知ることばかりを好み、満足してはならない。果敢に精進を始めるべきであるという教えです。学び始めることに遅いということはなく、思い立った時に行動に移し、自身の身と心を定めることこそが重要なのです。

目標に向かう途中でうまくいかないことも多くあるでしょうが、何かわからないことがあれば、むやみやたらに知識を取り入れるのではなく、自分の信頼できるところからそれを解決するために必要なことを学び、失敗を恐れず次の実践の糧にいたしましょう。

令和4年8月(千葉県広徳寺住職 石川大光師)

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