達磨大師(だるまたいし)/仏殿
中国禅宗初祖達磨(だるま)大師(生没年未詳)は、その伝記に諸説があるが、波斯(はし)(南宗禅)の伝記では、インドで嗣法したのち、大通元年(五二七)海路中国に渡り、梁の武帝と相見し問答を交わした。しかし、意見が合わず、ひそかに梁を去り、蘆の葉に身を託して揚子江を渡り魏の洛陽に至ったといわれる。その後、嵩(すう)山少林寺に入り面壁(めんぺき)すること九年間座禅を続けたとされ、その間にのちの二祖となる弟子の慧可に禅を伝えた。
なお達磨大師が入寂した日(ご命日)とされる十月五日には「達磨忌」の法要が行われている。
鳥蒭沙摩明王(うすさまみょうおう)
烏蒭沙摩明王は本来清浄なる自己に目覚めさせる徳をもつといわれ、禅宗や密教では東司の守護神として安置される。本山の東司(とうす・トイレ)にも烏蒭沙摩明王が祀られている。また、『沙石集(しゃせきしゅう)』で有名な無住道曉(むじゅうどうぎょう)(1226~1312)の『雑談集(ぞうだんしゅう)』によると、不動明王の垂迹であるとされる。
その容貌は異形も多いが、目は赤く、身は黒く四臂(四本の腕)で怒りの相を示し、全身が炎につつまれ、なかでも頭髪が火焔(かえん)の相をあらわすことから火頭金剛とも称されている。
釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)
七堂伽藍の中心である仏殿には、須弥檀の中央にご本尊である釈迦牟尼仏(お釈迦さま)をお祀りし、その脇侍として向かって右に迦葉(かしょう)尊者・左に阿難(あなん)尊者を配しており、一般に釈迦三尊と称している。
お釈迦さまは釈迦族の王・浄飯王と摩耶夫人の長子として誕生した。〈釈迦牟尼〉とは釈迦族出身の聖者を意味している。二十九歳の時、父王や妻子を後にして出家、求道の旅に出、三十五歳の時、仏陀伽耶(ぶっだがや)の菩提樹の下で大悟した。以後八十歳で入滅するまで四十五年間その教えを説き示し、一説には出家の弟子が一二五〇人に達したといわれている。
毎年十二月八日には、成道会(じょうどうえ)(お釈迦さまが悟りを開いた日)の法要が行われる。